開業。在宅でのハウスクリーニングとエアコンクリーニングが始まる
一週間のハウスクリーニング研修を終えて
※時間ができたので開業時の思い出を綴っております。
【フランチャイズ失敗】ハウスクリーニングは参入障壁が低いけど①
【フランチャイズ失敗】ハウスクリーニングは参入障壁が低いけど②
(前回の続き)
一週間の研修もほぼ終わろうかという頃、本部の社長があいさつにやって来て研修生たちを慰労しました。
そしてご挨拶。
「研修は短くていい、チンタラチンタラ長くやっても意味がない。現場で経験を積んで技術を身につけて・・・」
たしかそういう内容でした。
あとで聞いた話ですが、社長さんはもともと鳶職出身の方で、現場でたたき上げられてきたタイプの方だったのだと思います。
僕たちが研修で学んだことは『一般家庭でのお掃除とエアコンクリーニング』で、現場では頼れる人はいないもののミスをすることは許されません。
特にエアコンクリーニングについては研修で分解した3台だけのはずもなく、各種メーカーの様々な機種をぶっつけ本番でやることになります。
失敗しないわけがありません。
さらに、ハウスクリーニングの研修なのに洗剤の使用は省略されました。
教わった『アルカリ性』『酸性』『中性』の知識もわけがわからず。
あとは現場で慣れるしかありませんが、現場=一般家庭なので、これはリスクが高い。
体験実習があまりにも少なく、ましてや洗剤すら使わない研修を終えて、プロとして現場で作業ができるものでしょうか。
『身につけた腕(技術)を客先で試す』と『なんの技術もない者が生半可な知識で客先で作業する』
これは大きな違いがあります。
悩みました。
研修終了、早くも仕事が舞い込む
1週間の研修が終わり、税務署で開業届を済ませました。
不安だらけでの開業です。
異業種へなんの知識もない状態での独立開業。素人のくせに社長。
こんなことが許されるものなのかという葛藤と不安に襲われました。
足りない道具とか作業着を購入したりしていると、本部からいきなり作業依頼が5件舞い込みます。
換気扇クリーニング、エアコンクリーニング、お掃除機能付きエアコンクリーニング、等。
これにはびっくりしました。
『本当に仕事の依頼が来た。自分は騙されてなんかいない』、そう思いました。
もっとも、開業直後の加盟店には2~3ヶ月はある程度仕事が保証されるというのが業界では常識のようです。
そしてその後減っていきます。
新規開業者に仕事を優先して紹介するからです。
実作業すらしたことがない者を一般家庭に送り込んで作業させるのもどうかと
本部から初仕事の依頼がきました。
場所は川崎市、ノーマル エアコンクリーニングとレンジフードのクリーニングです。
先述の通り、洗剤を使った実作業すらしたことがない者を、一般家庭に送り込んで作業をさせる本部も随分と肝が据わっているなあと他人事のように関心しました。
なにか問題があったら開業者の自業自得とはいえ、それでも本部の看板をしょっているのですから、本部にしてもリスクではないのでしょうか?当時はまだ口コミやネットでの晒しが一般的になる前だったのでギリギリセーフだったのかも知れません。
不安になって本部に電話して尋ねましたが、『そんなものですよ』といわれればだんだんそんな気にもなります。風呂もキッチンもトイレも、やろうと思えば別に誰でもできるといういい方をされると、『ああそんなもんだんだ』と思いました。
いや、そう納得するように努力しました。
なによりも、僕はお金を稼がなければなりませんでした。
今にして思うと、こうして騙されていくんだなと思います。
初仕事まで2日間、実家でハウスクリーニングの練習をする
初仕事の客先訪問まで2日間ありました。
僕は実家のエアコンと換気扇を掃除してみました。実家は古く、格好の練習材料だと思ったのです。
研修ではレンジフードのカバーとファンの外し方しか学んでいないし、ましてや自宅の換気扇は研修会場のそれとはメーカーも形も異なります。エアコンは会場にはなかった東芝製。
換気扇を掃除します。
段取りも順番もなにもわからず、なにで磨けばいいのかわからず、洗剤をどうやって塗布すればよいのかもわからず。しかも実家の換気扇は表面に油が数ミリ固まってこびり付いているような状態でした。
たまらず本部に電話して指導員さんにやり方を尋ねると、
「〇〇(洗剤名)を使ってスコッチとかで洗ってください」
との返事。
具体的な洗い方についてはあいまいな返答しか返ってきません。
カバーに洗剤をスプレーすると、あっという間に液だれが生じました。
洗剤は上から下と教わっていたので、その通りにやったら、洗剤のたれた部分が糸を引くように白くなったのです。慌てて全面にスプレーしましたが、結局液だれの跡は消えませんでした。
その後も僕はホームセンターで買ったスコッチもどきに洗剤をスプレーしてカバーをこすりました。
当時の写真が残っていました。実家の換気扇です。
そんな調子で2日間実家で練習をして当日を迎えます。
初めてのハウスクリーニングの仕事でのビギナーズラック
ビギナーズラックというのが本当にあるのかどうかはわかりませんが。
初めての訪問先では年配のご夫婦に温かく迎えられて、エアコンとレンジフードのクリーニングをなんとか終えることができました。
朝の9時から開始して終わったのは夕方の4時頃でしたか。
酷い仕事だったと思います。
エアコンのカバーを外すのにとても時間がかかりました。キッチンの油も満足に落とせません。おそらく素人が来たとすぐにわかったことでしょう。
しかしご夫婦はとても優しく、途中差し入れを下さったりと温かく接してくれました。夫婦が僕の仕事に満足して下さったのかというと、間違いなくそんなことはなかったでしょう。しかし、幾度も感謝してくれたのがとてもうれしかったのを覚えています。
僕は自分の仕事の出来はさておいてやりがいを感じたのでした。いや自己満足というべきでしょうか。
(2019年、なんとこのときのご主人と感動の再開を果たしました!)
初仕事がこうでなかったら、僕はハウス クリーニング業を続けていることはなかったでしょう。
そして僕は、その当時仕事をさせていただいた家庭の方々に今も申し訳なく思っています。
客先でエアコンクリーニング。立て続けにエアコンを故障させる日々
その後も本部からは仕事が舞い込みました。主な仕事はエアコンクリーニング、わずかながらハウス クリーニングです。そしてエアコンを客先で立て続けに故障させました。本当にご迷惑をおかけしてしまいました。
原因はいろいろありましたが、最大の要因は本部の指示で作業に加えていたスチームクリーナーでした。
エアコンクリーニング後、エアコンの吹き出し口にスチームを噴射するようにと指示されていたのですが、僕はその噴射時間を長く取ってしまっていました。この時の高温と水分が基盤をダメにしていたのが原因です。
不慣れと知識不足による事故です。
稼いでいるのか損しているのかわからない日々が続きます。
迷惑をかけているという自責もありさすがに落ち込みました。
兎にも角にもエアコンクリーニングとハウスクリーニングの日々は続いていきます
そして2ヶ月も経たない頃から、本部からの仕事の紹介が徐々に減っていきました。
つづく
【フランチャイズ失敗】ハウスクリーニングは参入障壁が低いけど①
【フランチャイズ失敗】ハウスクリーニングは参入障壁が低いけど②