エアコンクリーニングは今やすっかり定着しました。
毎年夏も近づく頃になると、CMやネット広告が一斉にあおります。
やらないといけない気分になる方も多いのではないでしょうか?
そもそもエアコンクリーニングはエアコンのどこを掃除するものなのでしょうか?
まずはハウスクリーニング業者が行うエアコンクリーニングについて説明いたします。
業者のエアコンクリーニングはエアコンのどこを掃除するの?
エアコンクリーニングは上半分と下半分の2か所を掃除
一般的にエアコンクリーニングは、業者によってサービスの範囲が異なりますが通常はエアコンの上半分と下半分のクリーニングです。
では、上半分と下半分とはどこのことでしょうか?
標準ノーマルエアコンの表面です。
フロントパネルは開いた状態です。
フィルターが左右2枚あるのが見えます
※フィルターはメーカーによって黒だったりグレーだったり薄緑だったりします。
エアコンのフィルターと表面カバー等をすべて取り外しますと、
このような姿になります。
エアコンクリーニングはこの状態で、上半分と下半分を洗浄します。
上半分はアルミフィン、下半分は吹き出し口です。
エアコンクリーニングはアルミフィンと吹き出し口のクリーニング
エアコンクリーニングでクリーニングする箇所は基本的に、
上半分 ①アルミフィン(熱交換器)
下半分 ②吹き出し口
です。
①エアコンのアルミフィン
アルミフィンの表面は、縦に並んだ薄いアルミ板の集合体です。その内部には見えないのですが冷媒管という管が左右に何本も通っています。
冷媒管の内部にはクーラーガスが充満していて、それが冷えたり熱くなったりしてアルミフィンに伝わり冷気や暖気を発生させます。
ちなみに、アルミフィンと冷媒管を合わせて熱交換器といいます。
アルミフィンをキレイにするためにクリーニングをします。
アルミフィンが汚れで詰まる ⇒ 熱交換の効率が悪くなり効きも燃費も悪くなる
そこでクリーニングが有効になるわけです。
②エアコンの吹き出し口
吹き出し口にはルーバーもしくはフラップという羽でカバーされています。
ルーバーは運転時に自動開閉します。
ルーバーの奥には横長のシロッコファンが見えます。
上部と下部はある程度貫通しており、湿気を帯びたアルミフィンの影響で吹き出し口内部も湿気を帯びやすい状態になります。
したがってカビが発生しやすく、またホコリ等も付着しやすいです。
下の写真をご参照下さい。
湿気によるカビやホコリ等が付着しています。
これがいやなニオイの原因になります。
ここでもクリーニングが有効になるわけです。
【認知症とカビ】浴室やエアコンをクリーニングする意外な予防効果について
エアコン内部が汚れる原因
エアコン内部のアルミフィンは、夏場は湿気を帯びている状態が続きます。
また上部と下部はある程度貫通していることから、吹き出し口内部も同様に湿気を帯びることになります。
室内は目に見えないホコリが浮遊しています。
寝具やクッション、ペットの毛、脱いだ服、カーテン、ティッシュの紙粉、その他諸々。
湿気を帯びているエアコンの内部にそれらのホコリが侵入して付着しやすくなります。
上部はフィルターがアルミフィンを守っていますが、フィルターの掃除を長く怠っているとホコリが背後にこぼれてアルミフィンに付着します。
吹き出し口についてはルーバーがあるものの、どうしてもカビの温床になりやすいです。
※湿気対策として内部を乾燥させる『内部クリーン』機能を搭載した機種もあります。
喫煙部屋でしたらヤニ、キッチンでしたら油も侵入して、結果エアコン全体がさらに汚れることになります。
そんな汚れもエアコンクリーニングでキレイにすることが期待できます。
エアコン内部をどうやってクリーニングするのか?
エアコン内部を洗浄する道具は業者によって違います。
まずは養生をします。
養生の仕方はいろいろあり、業者次第です。
各社の流派があるようですね。
クリーニング用の専用洗剤を塗布した後に洗浄していきます。
洗浄は高圧洗浄機を使用します。
やりようによっては水道のホースであったり、また噴霧器も使われたりします。
さて、直接水を噴射するのですが水はどこにながれるのでしょうか?
洗浄した汚水はどこに流れる?
上部アルミフィンを洗浄した汚水は、そのほとんどが中間にあるドレンパンという皿に落ちて、背後のダクトを伝って室外へと流れます。
※ちなみにこのドレンパンも、場合によってはニオイの原因ともなるのでキレイにしなければなりません。
ダクトの黄色い部分から排水されます。
通常はアルミフィンの結露、クリーニング時は汚水が流れます。
先端の詰まりも要チェックです。
詰まると水が逆流します。
下部の吹き出し口に水を噴射すると、行き場のない水は当然下に落下します。
対策としてこのようなセッティングをします。
これにより汚水は下に流れ、バケツが受け止めます。
結果、
汚水がバケツに溜まります。
真っ黒く汚れている場合も多々あります。
エアコンクリーニングを自分でやるとしたら?
以上エアコンクリーニングの流れを説明しましたが、DIYでエアコン掃除を考えている方には以下が注意点です。
・まずはコンセントを抜く。コンセントがない場合はブレイカー側でエアコンの電源を落とす。
・エアコンのカバーは慣れないと外れにくいです:メーカーによってはかなり固いです。エアコンの上部が見れるくらいの高い脚立(4段でOK)を利用して、上部を確認しながら外すのがおすすめです。
・基盤に水がかかった状態で稼働すると故障します: 基盤が濡れないように養生したりタオルでカバーしながら作業します。万一濡れても完全に乾けば治りますが、不用意に電源をオンにすると故障の原因になります。万一やってしまった場合、メーカーのサービスで修理代30,000円くらいです。
・水が漏れて床や壁を汚すときがあります:エアコンの背面から洗浄する水が壁面を伝って漏れることがあります。対策として養生をします。和室によくみられる壁が珪藻土の場合、濡らしたらこすらないように注意します。
・ルーバーが破損することがあります:古いとエアコンは素材が硬化して左右の接続部が欠けやすいです。
・原因不明の不具合が起きる: 稀に誤作動が起きる場合がありますが、コンセントを抜いて5分経過したら直るケースが多いです。パソコンでいう再起動にような要領です。
その他もいろいろあります。
ノーマルはもちろん、お掃除機能付きの場合は特に手を出さない方が無難です。
エアコン洗浄のスプレーを使えばキレイになるのか?
エアコン洗浄のスプレーをホームセンター等でよく見かけます。
残念ながら使用したことはありませんのが、某サイトや解説動画を見た限りですと、使い方は以下の通りです。
①フロントパネルを開いてフィルターを外し、アルミフィンを掃除機(ブラシ)等で出来るだけホコリを落とす。
②下に液が垂れてもよいように養生する、もしくはタオルをあてる。
③アルミフィンに洗浄スプレーを噴射する。基盤にかけないように注意。
以上のようです。
スプレーの噴射力は強く、汚れもそこそこ落ちそうでした。
問題として、
・アルミフィン(熱交換器)のみの洗浄で、吹き出し口はきれいにならない。
・基盤(特にリモコンの光を受ける部分)が中央にある機種もあるので、液が付かないようにしないと危険。
・洗浄した汚水がしっかり排水できるかどうか。
特に通常アルミフィン部分の水分はドレンパンに落ちて背面からダクトを伝って室外に流れます。
そのダクトが詰まって排水がうまくいかないとどうなるでしょうか?
水が逆流して室内に漏れます。
これは様々な原因があり、室外のダクトの入口に虫が入って詰まる、なんていう原因も設置場所によっては発生します。
仮にエアコンの汚れが酷かった場合、スプレーで洗浄した汚水がダクトからうまく排出されなかったら、と考えると心配になります。
スプレーで洗浄をするのであれば、メンテナンスとしてキレイな状態のときにやるべきではないかと思います。