賃貸アパート・マンションの原状回復ってなに?

 

 

空き部屋

 

 

僕が実家をでてアパートで独り暮らしを始めたのが二十歳を過ぎて早々の頃でした。

 

初めての一人暮らしにドキドキしながら住居を探し、

 

不動産屋さんに連れられて部屋を見てまわり、

 

ようやく見つけたアパートの部屋の中は今でもしっかり思い出せます。

 

 

引っ越し当日。

 

なにもないこじんまりとした部屋に入り、

 

これからこの部屋で過ごす日々に胸をときめかす・・・・

 

 

思い出しますね~。

 

 

 

しかし実は、入居する前には前の住人さんの長年の汚れや痛みや傷がガッツリ。

 

キレイになる前の部屋の中を見てしまったら、がっかりして部屋をでたくなったりするかも知れません(笑)

 

 

前の入居者が部屋を出たあと、職人さんたちがキレイにしてくれているんですね。

 

賃貸アパートやマンションで、入居している人が出ていったあと、住む前の状態にキレイにと戻すことを、

 

業界では、「原状回復」といいます。

 

 

あたらしく入居する人が気持ちよく新生活に入れるのも、この「原状回復」のおかげなんですね。

 

 

 

原状回復を調べると、たまに 現状 となっているのを見ることがありますが、それは間違い。

 

原状です。

 

現状・・・・・現在の状態、ありさま。

原状・・・・・初めにあった状態。もとのままの形態。

 

この言葉通りです。

 

 

初めにあった状態に回復させる、もとに戻す。

 

 

 

「この部屋を原状回復してください」とは、

 

「この部屋をもとの状態に戻してください」

 

という意味になります。

 

 

もっとも、もとに戻すといっても積年の汚れや傷みは戻らないことの方が多いです。

 

ハウスクリーニングでキレイに掃除するだけでは不十分の場合も多いです。

 

例えば、

 

日焼けなど、長い時間をかけてできてしまった変色や傷などや、故障・不具合、

 

もしくは、借りて住んでいた人がつけてしまったいろいろな傷や汚れ、

 

床や壁や天井、

電気関係、

水道関係、

サッシ、ガラス、水周りなど、

 

それらを次に借りる人が快適に過ごす部屋になるよう、

 

いろんな業者が原状回復のために1つの部屋に出入りすることもよくあります。

 

原状回復にかかる料金はけっこうなものになりそうですね。

 

 

塗装

 

 

原状回復の料金って、借りた人が払うの?貸した人が払うの?

 

 

部屋を借りている人は退去するとき、借りる前のようなキレイな状態になって部屋を貸してくれた人に帰さなければならないことになっています。

 

部屋を借りている人は、退去するときに原状回復の義務を負っているのです。

しかし、長く住んでいて、まったく部屋が汚れたり傷んだりしないことは、よほどすぐに引っ越しをしてしまった場合くらいしかないでしょう。

 

 

賃貸住宅における建物の破損等の修繕についての条項民法(606条)においては、

 

「賃貸人(部屋を貸す人)ハ賃貸物ノ使用及ヒ収益ニ必要ナル修繕ヲ為ス義務ヲ負フ」

 

つまり、部屋を貸す人が修繕費用、つまり原状回復のお金を負担するということになります。

 

 

 

さっきは部屋を借りる人が原状回復の義務を負っているって言ったじゃないの??

 

 

 

家賃には、部屋を借りた人が、「普通に部屋を使っていた場合」の原状回復の費用も含まれていると考えられています。

 

 

つまり、部屋を借りた人は家賃を払いながら、原状回復の費用も払っているということになるってわけです。

 

 

賃賃貸借契約では、よっぽどの条項がなければ部屋を借りた人には、それ以上の原状回復の義務はないということになっています。

 

 

 

賃貸借契約書では、

 

賃貸借の契約が終了したら、部屋を借りた人は物件を「原状に回復して」部屋を貸した人に帰す、となっていることが多いです。

しかし普通に暮らしていれば、小さい傷がつくのはしょうがないこと、それがペナルティにならないということにもなっていました。

 

 

でも、この部分はけっこう微妙なところです。

 

そこで、支払いのどこまでをどちらが持つのかでトラブルよく起きていた経緯があります。

 

 

 

 

原状回復の費用負担をめぐってトラブルが。

 

 

 

原状回復にかかわるトラブルの多さに業を煮やした当時の建設省は、平成10年に原状回復に関する裁判例等

を集約して、原状回復に関する費用負担等のルールに関するガイドラインを公表しました。

 

ガイドラインはその後改訂をして今にいたっています。

 

 

 

現在、国土交通省が定めているガイドラインは以下からみることができます。

 

 

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 

 

 

原状回復は部屋を借りた人が、借りたときの状態に戻すものではないということを前提に、

 

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の私用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

 

つまり、

 

経年変化や通常損耗よる部屋の傷や痛みはしょうがないけど、

 

わざとやったり、うっかりしてこわしちゃったり傷がついたところについては、部屋を借りた人が原状回復の料金を払わないといけない、ということになります。

 

 

部屋は大事に使わないといけないということですね。

 

でも、経年変化、通常損耗といわれても・・・

 

なんだかいろいろとむずかしいですね。

 

 

 

国土交通省のガイドラインには、そのへんの例をたくさん書いています。

 

例えば、

 

【賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの】

※部屋を借りた人が、退去時に原状回復のお金を払わないでいい場合の例です♪

 

● 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡

● 畳の変色、フローリングの色落ち

● テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ

● 壁等の画鋲、ピン等の穴

● エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡

などなど

 

 

【賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの】

 

※部屋を借りた人が、退去時に原状回復のお金を払わないといけないとされる例です!!

 

●カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ

●冷蔵庫下のサビ跡

●台所の汚れ

●結露を放置したことにより拡大したカビ・シミ

 

などなど

 

 

厳しいですね。

カーペットに飲み物等をこぼしたシミなんて、家で飲み物を飲めないじゃないですか!

小さい子供がいたら住めないよ!

 

 

なんて思ってしまいますね。

 

実際はというと、それぞれの項目にその考え方が書いてあるのです。

 

それを加えると、上の例はまったくニュアンスの違ったものになります。

 

 

●カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ

(考え方)飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる。

 

●冷蔵庫下のサビ跡
(考え方) 冷蔵庫に発生したサビが床に付着しても、拭き掃除で除去できる程度であれば通常の生活の範囲と考えられるが、そのサビを放置し、床に汚損等の損害を与えることは、賃借人の善管注意義務違反に該当する場合が多いと考えられる。

 

●台所の汚れ
(考え方)使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合は、通常の使用による損耗を超えるものと判断されることが多いと考えられる。
●結露を放置したことにより拡大したカビ・シミ
(考え方)結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

 

 

文字数が多くなり申し訳ありませんでした。

 

つまりは、

 

 

★きちんと手入れ・掃除をすること

 

★なにかあったら貸主さん(部屋を貸している人)にちゃんと報告すること

 

 

ということになりそうです。

 

それにしても部屋を借りて住むことって、厳密にいうととても気を遣うことなんですね(笑)

 

借りているものは大事につかう、そう考えれば当然のことかもしれません。

 

 

部屋を退去するときにトラブルにならないように、原状回復にそなえて日ごろからお部屋は大事に使うに越したことはないようですね。

 

 

 

参考で、

 

 

ざっくり調べてみた原状回復のおおよその金額は以下の通りです。

(各社さんかなりばらつきがありました)

 

 

1ルーム  20,000円

1LDK   25,000円

2LDK   30,000円

 

 

 

 

 

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